高齢化社会が進む中、日常生活において高齢者と接する機会が増えていくことが予想されます。高齢者と一口に言っても、元気に活動できる人から要介護状態の人まで、心身の状態は様々です。しかし個人差はあれど、皆に一律に見られる身体的変化があり、その点を踏まえた対応法が重要だといえるでしょう。
まず高齢になると、反応や動作がゆっくりになってきます。こちらのペースを押し付けるのではなく、相手のペースに合わせながら、自分でできることはしてもらうことが大切です。要介護状態の人であっても、必要以上に手を出さないことが、本人の自立への近道なのです。また高齢になると、仕事の退職や近しい人との死別などといった環境の変化により、不安や疎外感を抱き家に閉じこもってしまうことがあります。そうした一人一人の背景を理解した上で、相手に敬意をもって接し、話にしっかりと耳を傾けることも重要です。
認知症の場合は同じことを繰り返し話すこともありますが、指摘せず受け入れていくことが大事です。また高齢者は聴覚が衰え、話を聞き取りづらくなってきます。相手に伝わるよう、ゆっくり大きな声で、簡単な言葉を使って話すことがコミュニケーションのコツです。足腰の機能も低下している場合があるため、一緒に行動するときは転倒を防ぐため、見守ったり障害物をどけたりするなどの配慮も求められます。高齢に伴う心身の変化を理解し、行き過ぎたサポートを避け、敬意を表しながら相手の意思を尊重してコミュニケーションすることが、最も望ましい対応法なのです。